英国美術館・ギャラリー研修

  海外研修生レポート  枡田さん(早稲田大学卒 )   

  • ギャラリー 日本と英国の相違点

  • 英国ギャラリー研修 Q&A

ギャラリー 日本と英国の相違点

日本と英国の相違点は、まず近現代の美術を扱う、美術館、画廊の数が挙げられます。東京の画廊の量は定かではありませんが、ロンドンの方が多いように思います。
次に挙げられる点は入り易さ。正直、申し上げて私は生まれてこの方、友達の展示の時以外は、東京で画廊に立ち寄った事がありませんでした。ただの先入観と偏見ですが、以前は画廊に対して、絵を売りつけるとか、そういうようなちょっとした胡散臭さを感じていたものです。
また、それを裏付けるマーケットの大きさ。マーケットが大きければ、画廊や、美術館も増え、自然淘汰も働き、質の良いものが残る。とはいえ、そうは言うものの、それによって、消費を意識したものに走ったり、ただ印象を与えるような作品が出てきたりする恐れもあり、自然淘汰が一概に、質の良いものが残るとは言い切れないでしょう。しかし、そうしたマーケットの大きさの中で、アーティストや、画廊、美術館が切磋琢磨しているというのは事実だと思います。
そして、それを支えるのは人々の美術に対する関心や、理解だと思うのです。美術館に限らず、画廊までもが、エデュケーションプランを充実させているというのが双方に良い循環をもたらしているのではないかと思います。
とりわけテートモダンの休日の混雑ぶりは眼を見張るものがあります。日本で考えれば、近代美術館にこれほど人が集まるなど、ジブリ展の時を除けば、殆どないでしょう。どちらが良いという事は一概には言えないし、また言うつもりもありません。日本の美術館も頑張っていると思うし、時折、素晴らしい展示も目にします。しかしながら、その成果をより多くの人に見せるという努力に関しては、イギリスに比べてはまだまだ遠く、また人々の美術に対する関心も左程高くない、というのが現状なのではないかとおもいました。(2005年11月24日)


英国ギャラリー研修 Q&A

枡田さんに、英国での研修について、いろいろお聞きしました。

Q: 現在の研修先を見つけた経緯、研修内容。働いている人のバックグラウンド

A: 研修先は、40件ほど履歴書を送り、返事のあったところで面接、そして採用という運びとなりました。面接へは、40件の中で、5件ほど行きました。

研修内容は、デスクワークが主。時折、大工仕事など、アーティストの手伝い電話応対など
企画立案などはそのままギャラリー、美術館の死活問題になることはもちろんのこと、長いスパンで、計画するものなので、短期のインターンでは関わる事は、たとえ経験者でも、まず望めないでしょう。働いている人のバックグラウンドは良く分かりませんが、概してハイソサエティー、
高学歴のような気がします。

Q: 英国のアート関係や美術館・博物館でのインターン事情
A: ギャラリー、美術館、博物館にはよほど小さいところでない限りインターンをとるようです。ただ、現地の人間の間でも非常に人気な分野なので決して簡単ではないように思いま
す。

Q: 学芸員やアート関係者の仕事や生活事情、就職事情
A: よく分かりませんが、決して楽ではないようです。


(2005年12月3日)

一年を振り返って

インターン
 
現代美術の画廊でインターンをしたのだが、職務内容としては基本的に雑用が多かった。それでも作家の手伝いに行ったり、プレスや、資料を作成したりする中で、画廊における一連の仕事というものを見ることが出来た。また、作家やギャラリーのスタッフ、キュレーターと知り合いになっていくにつれて人脈が広がっていったのも刺激になった。
 
 その他
  ロンドンのアートシーンがどれだけ勢いがあるのか、というのを見る為に出来るだけ、画廊や、美術館に訪れる事を心がけ、結局1年で述べ300軒の展示を見てきた。そうした中で日本と違って芸術が人と近いという一面も感じたが、反面、それが、特権階級のためのものでもあるという一面も強く感じた。とはいえ、日本と違って、勝ち組、負け組みなんて妙な区分けはなく、色んな人がいて、色んな価値観で物事に取り組んでいるという風潮はいいと思う。Artistは、奇人ではなく、売れる売れないに関係なくCoolな人種だといったような社会的認知があり、それは興味深いと思う。
 
将来
 現在、日本の現代美術の画廊で働いているが、海外との折衝も多く、インターンの時に経験した英語でのプレスの作成、メールのやり取り、といったものは生かすことが出来ている。来春からは、大学院で美術史学を専攻する予定で、実践と理論という二点で美術に対する造詣を深め、最終的には当初の目的通り、学芸員として、美術館で働く事が出来たらいいと考えております。