国際援助NPO研修(英国)

 体験談 猪熊さん(立命館アジア太平洋大学学生)  

「Be Natural」

私は、イギリスでは有名なOxfamというチャリティーショップで6週間だがボランティアをした。それは、学校のプログラムの一環であったのだが、私にとってはボランティアをするのはこれが初めてだった。
 初めてショップに行った時は、ボランティアというよりもバイトに近い感覚で行ったので、驚くことが多かった。客の前で飲食することや、談話をすることなど考えられなかったからだ。それでも、「お茶かコーヒーはいらない?」とほとんど絶え間なく尋ねられ、私もコーヒーにビスケットを頬張りながらの接客であった。ただ、心の中では罪悪感とまではいかなくても、いいのだろうか・・・という自問自答は繰り返されていた。
 だがそれも、回をなすごとに違和感はなくなり、気楽にボランティアを楽しめている自分に気付いた。一緒に働いている人たちとの他愛無いおしゃべり、そしてショップに訪れる人とのさりげない会話。自分も楽しみながら、自然にリラックスして働くということを学んだかもしれない。
 また、働いていて身に染みて感じたのは、イギリス社会にはチャリティーの精神が根付いているということだ。大体どこの街の中心部にもチャリティーショップが数多く軒を並べ、人々も当たり前のように買い物をしたり寄付をしたりしている。それが、本当に自然に出来ているのだ。そもそもチャリティーショップというものは、人々が不必要になった物を店に寄付をし、店がそれらから商品に出来るものを選び、商品として売り、それで得たお金を社会に役立たせるために使用する、という仕組みになっている。日本にはない仕組みである。そのためか、寄付をしに来る人は、そんなに多くはないだろうと思い込んでいた部分があった。だが、実際は多くの人が必要にならなくなったものを持ってきてくれる。それは、大変価値のあるものであったり、新品のものであったり、ブランド品であったりもする。その実態を目にした時、私はとても感動してしまった。そして、日本もいつか、この仕組みを自然に受け入れることが出来ればいいのに、と思わずにはいられない。私はここで、「自然に」という言葉の意味を身に染みて感じ取っているのだと思う。

「喜びが喜びを呼ぶ」

 私は、英国に来て人々のチャリティーの精神と、それをうまく活用しているチャリティーショップのシステムに感動した。そして今、英国で最初に出来たチャリティーショップOxfam GBで働いている。
 ここで働くことで、内部を間近で見ることが出来ている。そして分かったことは、チャリティーショップのシステムは一方方向でなく、無理なくギブ・アンド・テイクが成り立っているということだ。買い物客は、安くて良いものが手に入り、自分のための経済的出費が、寄付になる。ショップに物を寄付する人は、不必要になった物をチャリティーショップへと渡すことで、自分で処理する手間と手数料も省け、且つ、それが寄付になる。ショップで働いている人は、マネージャー以外はボランティアである。退職して時間が出来た年配の方が、ボランティアとして働いている割合がやはり多い。周りとの関わりが希薄になりがちで無力を感じたり、呆けたりしてしまう老人が、ボランティアとして働くことで、やる気や存在理由、コミュニケーションの機会を得ることも出来るし、彼らの持っている抱負な知識と経験を活かしながら、人件費も抑えることが出来るのだ。
 また、こんな取り組みもある。クリスマスプレゼントとして、包装出来ないプレゼントを贈るというのだ。一例を挙げると、給食や、ヤギやロバ、トイレといったものをプレゼントにするのである。だが、これをあなたではなく、一番必要としている人に贈った、という内容のカードを相手に贈るのである。そのカードを贈られた相手は、チャリティーの精神に触れることにもなるし、自分へのプレゼントが人のためになっているのだと、という喜びも感じることが出来る。また贈り主も相手だけでなく、その他大勢の困っている人にもプレゼントすることが出来る喜びがある。
 このように、たくさんの喜びの詰まったシステムがチャリティーショップなのだと日々実感している。