英国出版社研修

 海外研修体験談 野村佳代さん(同志社大学文学部英文科)  

「 日々の暮らしの中の様々な発見」

  イギリスに来て三ヶ月経つが、日々の暮らしの中で様々な発見や気付いたことがある。それらを衣・食・住と国民性の観点でまとめていきたいと思う。
まず、「衣」に関してだが、これは日本と気候が違うため当然異なる点が多い。7月の今でもジャケットやセーターが必要な日もあるし、そうかと思えばノースリーブでも暑い、と感じる日もある。一週間の間で春夏秋冬がすべて訪れることをイメージしていただいたらわかりやすいであろう。だが日本と服装が違うのは気候だけのためではない。やはりファッションの街ロンドンがあるだけのことはあって服装に気を使っている人が多いように感じる。それもゴテゴテに「いかにも気を使っています」風の着こなしではなく、さりでなく全体のコーディネートがよくできているのである。
次に「食」だが、これは有名だと思うが、本当にイギリス人はよくジャガイモを食べる。またミートパイやベークドビーンズなどのこてこて料理も主流である。スーパーなどに行くと冷凍食品の品そろえも豊富だ。ちなみにパブが街のあちこちにあり、ビール片手にサッカーの試合を観ている地元人でいっぱいである。イギリス人はたくさんアルコールを飲む。昼からビールを飲んでいる人もよく見かける。
「住」に関してだが、イギリスでは一人暮らしをする人が少ない。だいたい2−5人辺りでルームシェアをする人が多い。そして家賃が高い。ルームシェアの一人当たりの家賃が日本で一人暮らしできる値段になる。また、こっちの家には当然クーラーはない。ただ日本に比べたら窓が大きい家が多く、風通しが良い。
最後に国民性だが、驚くべきことにイギリス人は日本人に似ている点が多いと感じた。それを最も顕著に感じたのは人との距離感のとり方である。英語圏の地域の人々はオープンな人が多いというイメージがあったのだが、イギリス人は日本人と人との付き合い方が似ているのである。仲良くなるまでは礼儀正しく、本音を出さず、一定の距離を保つ付き合い方だ。
以上がイギリスでの発見や気づいたことである。だが上記の点など氷河の一角に過ぎず、今後の生活の中で更に多くの発見などが出てくるであろうと期待をしながらこれからの9ヶ月も一生懸命生きていこうと思う。

出版社でのインターンシップ

 インターンシップ先のDAKINI BOOKS LTDで研修を開始して、二ヶ月弱になる。今だから冷静になって振り返ることができるが、企業探しははっきり言って大変だった。まず、自分のやりたいことが何なのかが明確ではなかった点と、いくつか希望していた業種がどれも人気の高いところだったからだ。
 当社は映画・演劇関係、美術館関連の企業をあたった。いくつか面接に行かせてもらったものの、ピンとくるところがなく、本当は何をやりたいのだろうかということに関して、悶々と悩む日々が続いた。そうしているうちに日数も過ぎ、焦りも加わったが、シンプルに自分の好きな本に焦点を当ててみることにした。よって、次はロンドンにある出版社をインターネットで片っ端から調べて、時間が限られているので履歴書を送る手間を省き、いきなり「インターン生を受け入れることに興味はないですか?」と電話をしていった。そこでも「空きはない」「まずは履歴書を送らないと話にならない」と断られることが多かった。現在の研修先であるDAKINI BOOKSに電話をしたらすぐに面接に来いとのことだったので、早速行った。小さな会社で人手が足りていない上、ちょうど日本の温泉に関する本を出そうとしていたらしく、即採用させていただくことができた。
 私は9月6日からここで働き始めたのだが、これまでに様々なことをさせていただいた。例えば、温泉の本の企画のためにJNTO(Japan National Tourist Organization)や日本大使館の方とミーティングをしたり、企画書を考えたり、電話でミーティングをセットアップしたりした。その中でも最大のイベントは10月6-10日行われたフランクフルトブックフェアだ。会社のみんなと(といっても私を含めて3人だが)と5日間、ブックフェアで計30近くのミーティングをこなし、多くの成果を出した。出版業界についての知識が深まっただけではなく、同僚との仲も深まった。それと同時に欧州の人々の仕事に対する認識を目の当たりにした。日本だと朝、昼、晩ずっと働き続けることも珍しくないが、こちらの人は夜は自分たちの時間、と割り切っていて、私生活も満喫している様子が伺えた。このように実りある充実した日々を過ごしている。
 企業探しは本当に骨の折れる、大変な作業ではあったが、自分で汗水たらしてがんばったからこそ、今の充実感があるのだと感じる。もし与えられた企業に何の苦労もなく行ったのでは、今の満ち足りた気持ちも半減してしまうと思う。残りの日々も精一杯楽しんで、たくさんのことを吸収し、後悔のないインターンシップ生活を突き進んでいきたいと思う。

研修全体を振り返って」

研修生活を振り返って言うならば、とても実り多かった、という一言に尽きる。それには以下の理由がある。
第一に、責任のある仕事内容をさせてくれたこと。例えば日本政府の方と電話でミーティングをしたり、企画している本についてミーティングをさせてもらったり、クライアントの元に同行させてもらったりした。中でもフランクフルトへ国際ブックフェアに参加させてもらったときに、某大手出版社と一人でミーティングをしたことは今でも鮮明に覚えている。海の中に突然放り込まれるような荒手法ではあったが、曲がりなりにも自分で泳ぎ方を覚え、成し遂げることができた。
  第二に、たくさんの出会いがあったこと。それはミーティングであったり、クライアント先であったりもしたのだが、ネットワーキングパーティーに参加させてもらったことによる面も大きい。様々な国の様々な会社の方と出会う機会など滅多になかったので人脈が広がっただけではなく、多文化をより積極的に受け入れる精神性も身についた。
  第三に、社員全員が仲良かったこと。全員といっても私を含めて三人しかいなかったのだが、それゆえに仕事面のことだけではなく、プライベートなことまで話し合ったりし、仕事仲間を超えて友情が芽生えた。また、彼女らの仕事振りを見て、効率のよい仕事方法、電話マナー等も学んだし、聞きたいことは何でも聞ける環境にあったので、質問をすることによって自分の中で理解が深まった。
 それに加え、何よりも自分自身に対する自信と度胸がついた。消極的で自分のことを好きになれなかった自分であったが、この研修生活を通して自分のことをちょっとは好きになれた。
 ここで得た経験を、今後は日本での就職活動に活かし、無事出版社に入れるように頑張りたいと思う。

※ 野村さんが参加しているプログラム(1年間)は、研修の一環として、前半6ヶ月のトレーニング中にインターンシップ研修先を自分で見つけ、自分で獲得した研修先で後半6ヶ月間のインターンシップを行うシステムです。