米国議会図書館研修

 海外研修体験談 竹之下さん(早稲田大学学生)   

「異文化の中で感じていること」

三ヶ月目のアメリカ生活をふり返り、特に印象深かったことを次の二点にまとめたいと思います。

 第一に、異文化の中で生活するということ、第二に異文化の中で勉強するということです。
 第一に挙げた生活面で協調したいのは、何に対しても積極的に挑戦する事が大事だということです。アメリカという巨大な社会では、人と出会いや行事への参加はまさに一期一会です、その中で受身の姿勢で待っていては、何一つ得ることができません。私の場合は異文化交流のパーティに参加していた大学職員の方を通じ、間にもう三人の紹介者を経て.興味のある分野で活躍しておられる日本人の方と会うことができました。 
 第二の異文化の中で勉強するということでは痛感している事があります。それは勉強を続ける事の難しさです。一般に、海外で生活しているとその国の言葉が自然に上達すると思われがちですが実際には違います。生活するという点では言葉は予想しているほど障害にはならないのです。単語とジェスチャーを使えば、旅行なども楽しむ事ができます。また、興味深い場所や行事がたくさんあるので、ついついそちらに時間を割いてしまう事もあります。確かにこのような経験から得るものは大きいのですが、正確な文法や適切な語句を習得するには不十分のように見えます。生活できるということに安心してしまい、ハングリー精神を失ってしまうことはとても残念なことです。自分なりに時間を確保して、学ぶ姿勢を取りつづけてこそ、環境を活かしきることができると思います。三ヶ月が過ぎ、アメリカの多様さやエネルギーからくる魅力のとりこになっています。生活するということに慣れても、来たときと同じような積極性や向上心を忘れず.毎日を精一杯過ごしていきたいと考えています。

「日本とアメリカの違い へのリンク〜司書・図書館・本屋について」

 図書館交流奨学生としてアメリカに来てから半年がたちました。現在、議会図書館でインターンとして働いています。今回は図書館で働く司書ついて述べるとともに、図書館とよく比較される本屋についても書きたいと思います。これまでに、公立、私立、大学図書館を訪れ、司書の方に話を聞いて回りました。
 日本と違い、アメリカで司書になるには図書館情報学を学び、博士号をとる必要があります。話をした司書の方には一度就職し、ある筋でベテランとなってから、延長として司書になられた方が少なからずいらっしゃいました。現大統領夫人のローラ・ブッシュ氏も教員を経て図書館情報学で博士号をとり、司書に転職しています。そのため、司書というとエキスパートであるという意識が非常に強いのです。
 インターン先の議会図書館では、司書ではなく、それを補佐するテクニシャンという役割があり仕事の内容がかなりはっきり別れています。どちらも図書館にとっては非常に重要な仕事なので、なぜ日本の図書館にはテクニシャンが置かれないのか不思議に思います。
 また日本で図書館学について学んでいると、「無料資本屋批判」というものを目にします。しかし、こちらでは図書館と本屋とは大きく異なる役割を持っています。アメリカの本屋では、客がかなり自由に商品を扱うことができます。立ち読みは当然のことで、買う前の商品を店内のカフェに持ち込んでノートをとる人や、床に積み上げて一冊ずつ吟味している人も多く、はじめは大変驚きました。
 では、図書館との違いは何かというと、本屋はどんどん新しく品揃えをかえるのに対し図書館は資料と資料をつなぎ合わせ、何かを構築するところに比重を置いているのです。つまり、本屋が鮮度を重視する八百屋で、図書館は台所のようなものであると思います。
 ところで、最近多くの美術館や博物館にかなり本格的な図書館が置かれていることに気がつきました。時間の許す限りこれらを訪ね、司書の方に話を伺ってみたいというのが今後の展望です。
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インターンとして理想の環境の中で

 今インターンとしては、理想の環境にいると思います。最近は司書の方と一緒にレファレンスデスクに座ったり、レファレンスをしたりする機会も持たせてもらっています。そのほかの業務では、所蔵されている明治期以前の日本資料に識別番号をつけたり、データベースを使った確認作業をしたり、アナログ資料のデジタルデータ作成などもしたりしています。
 
最近の業務は図書館の所蔵する伊能忠敬日本大図(複写)のデータ修正で、200枚ほどの地図を一枚ずつ広げて確認し、データをとりました。このとき私の作ったデータの一部はすでにオンライン上に公開されています。

http://hdl.loc.gov/loc.gmd/g7960m.gct00032   上の写真:伊能忠敬大図のデータを取っているところ。「琵琶湖」の文   字が見えるでしょうか。ほこりよけにジャージを着て作業をしています。

職場で困ったことのひとつに「英語が第二外国語の人との会話」があります。アジア課で働いているのは日本人以外に中国人、台湾人、韓国人、インド人、ベトナム人などで、彼らのアクセントになれないころは何を言われたのかわからず、歯がゆい思いをしました。
 私生活では週に一回私立図書館にボランティアに行くことと、日曜の教会のミサに聖歌隊として参加することが生活のアクセントとなっています。私立図書館でのボランティアはこのプログラムでの研修の一環として始めたものですが、大型の議会図書館と違って運営全体が目に見えるのが魅力で今も続けています。さらにこの図書館はアートが専門であるため、所蔵しているものも本にとどまらず、映像や音源といったものも積極的に収集しており、そういったものを見るも新しい刺激です。教会はホームステイ先のホストマザーとルームメイトが通っているのについていったのがきっかけですが、たまたま経験のあるソプラノを探していたので入隊することにしました。練習以外に一緒にブランチをとったりピクニックに行ったりと、平日は家と図書館の往復が多い私にはとてもいい気分転換になってます。
 インターン活動もいよいよ後半に入り、一日一日がとても貴重に感じられます。これまでは日々の業務に精一杯でしたが、今後この経験をどう役立てられるかを視野に入れながらすごしていきたいと思います。
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「研修を終 へのリンクえて」

議会図書館アジア読書室 このレポートでは研修前後の心境、つまり研修前の不安と現在の意見を比べてみました。これらは今後インターンを考えている人を想定してかかれています。
 結論からいうと、とても価値のある一年でした。生々しい社会の流れの中に実際に身をおき、必死で考え行動する、そのこと自体は日本でもできますが、価値観の大きさと人との出会いは桁違いです。いってよかった、来られてよ                            かったと心から思います。

1.インターンとしてどの程度仕事がさせてもらえるのだろうか。

→アメリカではインターンシップが盛んなので、インターンの立場に理解があります。ただ仕事を任せるだけではなく、将来に生かせるような経験や、珍しい経験の機会は積極的に与えてくれました。私は議会図書館でのインターンと平行して、私立図書館でもボランティアを続けていたのですが、ボランティアとインターンでは任される内容、仕事の責任に差があったと感じています。

2.英語圏で言葉の苦労はどの程度するのだろうか。

→英語の勉強は大学受験(文学部)でやった程度ですが、この一年どうしようもなく困ったことはありませんでした。語彙力はあるにこしたことはありません。ただし会話中の動詞は英語が母国語の人もhaveやgetやgoといった基本単語を使いまわすため、語彙力+応用力のバランスが大切だと思いました。聞き取りについてはイギリス人の話す英語、ロシア人の話す英語、インド人の話す英語、とそれぞれ特徴があることをインターンが始まってはじめて実感しました。

3.異なる文化の下で生活していくのは非常にストレスがたまるのではない   だろうか。
→期間が決まっていたせいもあり、何事も経験として受け入れられました。

4.日本人であること、日本人らしさを求められることがあるのだろうか。

→インターン先にもよりますが、日本の地歴の知識は私にとって非常に重要でした。廃藩置県以前の地理の知識が必要な仕事をしたこともあれば、現代風俗についての情報が求められたこともあります。日本人らしさについて印象的な出来事があります。図書館のレファレンスデスク(受付)に座っていたときのことです。こちらの説明ににこやかに相槌を打っていた日本人の利用者の方がいたのですが、一緒に対応したアメリカ人の司書の方の目には「ニヤニヤ笑って失礼なひと」と写ったようです。

インターン終了が来週なので、今、帰国後の状況を報告できないのが残念ですが、これまで挑戦してきたことやその姿勢は自分の背中を大きく
押してくれると信じています。


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