英国建築研修 |
体験談 斉藤さん(2006年4月から12ヶ月間研修) |
| イギリスに来て12ヶ月が経とうとしている。今回が最後のレポートなので、インターンシップやこちらでの生活を通して全体的に得られたことを書こうと思う。 まず英語力の向上だが、ヒアリングについては映画の内容にもよるが字幕のない映画を十分楽しめるようになった。学割を最大限利用して、興味のある最新作は勉強の意味も含めてみるようにしていた。円安により全般的に物価は日本の倍近く感じるが、映画は6ポンド(学割)で観られるので、日本より少しお得感がある。話はそれるが、イギリスは学生に優しい国で、いろんなところで学割が利く。電車はもちろんのこと、HMVやヴァージンのCDショップでも学割が使える。スピーキングについては、向上したというより度胸がついたと言ったほうが正しいかもしれない。相手の言っていることがクリアに分かるようになったので、決してネイティブのようにすらすら話せはしないが、対等な立場で交渉できるようなレベルまで達したと思う。 設計事務所でのインターンシップを通して学んだことは、仕事内容が違っても仕事の進め方というのは変わらないということだ。インターン先で、主に家の詳細設計を任されていた。私はエンジニアリング会社で建設現場管理の仕事を日本でしていたため、全く違う分野のインターンシップを行ったわけではないけれど、実務において設計業務を担当するのは今回がはじめてだった。不安だったのははじめのうちだけで、すぐ仕事にも慣れ、自分のペースで仕事ができるようになった。自分で作成した図面を持ち、現場にチェックに行く喜びを感じることができた。しかし、図面に問題があれば、全ては自分の責任になるということでもあった。約10ヶ月のインターンを通し、バランス良く建築に関する知識をつけることができたと思う。この点において、このような機会を与えてくれたwoolf architectsには大変感謝している。残念ながら、日本のように工事が予定通りに進むわけでなく、インターンシップ終了までに家は完成しなかった。完成したころに、またロンドンに遊びに来ようと思う。 さらに、インターンは通常無給の人が多い中、私は日本での現場経験もあったため、わずかながら給料を貰えていた。もちろん全ての生活費を賄えるようなものではなく、1ポンド=250円という円安状況で生活していくのは困難なことだった。また、現地の人が同じような仕事をして、フルで給料を貰っているのを見ると、自分のモチベーションが下がるのも事実だった。同時に、学生という立場は生活上のメリットはあるが、学生ビザでインターンするという状況に少々疑問も感じた。仕事をする以上、無給というのはおかしな話で、今度の人のためにも、この状況は変えていく必要があると思う。この状況自体が、日本人はお金持ちと思われる一つの原因になっているのだとも思う。日本の会社で働いていたとき、子会社から出向できているフィリピン人が数多くいたが、同じような立場として(低賃金労働者として)働いてはじめて、彼らの気持ちが良く分かった。モチベーションを維持させる努力が、マネージャーレベルには必要なのだということに気がつくこともできた。 インターンシップ以外では、休日を利用しヨーロッパ各地の建築物を巡る旅に出ていた。イギリスはヨーロッパ諸国への空便が良く、前もって予約しておけば驚くような安い値段でチケットが手に入る。さらに、オリンピック前のバブル景気のイギリスの物価に比べれば、他のヨーロッパ諸国の物価の方が安く感じた。なんとひょんなことから、その旅で撮った写真をイギリスの日本人向け週間フリーペーパーUK JACKに掲載させて頂くこともできた。連載の予定だったのだが、UK JACKが廃刊になってしまい1回のみの連載となってしまった。しかし、この経験のおかげでまた一つ自分に自信を持てるようになった。 このような経験を通し、私はイギリスに来て本当に良かったと思う。円安の状況下で、景気の良いイギリスで生活するのは困難なことだが、同時に今のイギリスにはそれだけチャンスがあるように感じている。 最後に、奨学金を出していただいたユーロ・アメリカン教育協議会には大変感謝しています。この場をお借りして、お礼を述べさせていただきます (2007年9月) ※ 斎藤さんの写真が掲載された雑誌を見るためには、こちらをクリックしてください。 |